動産執行とは何か?対象になるもの・ならないもの

代表弁護士 佐々木 一夫 (ささき かずお)

強制執行の方法は色々とありますが、その一つに動産執行というものがあります。

動産とは動かせる財産のことをいい、動かせない財産である不動産の対義語として使われます。

動産には銀行預金などは含まれず、自宅や事務所にある現金や金(ゴールド)などの貴金属やブランド品などをいいます。

つまり、動産執行とは別の言い方をすれば動産の差し押さえであり、現金や換金性の高いものを差し押さえることなのです。

不動産を差し押さえたり、銀行口座にある預貯金を差し押さえたりする方法と異なり、実際に自宅や事務所に行き、その場で現物を差し押さえるのが動産執行となります。

今回は、動産執行とは何かについて、詳細に解説していきます

動産執行とは?

動産執行とは、動産、つまり動かせる財産の差し押さえのことをいいます

動かせない財産である不動産と異なり、債務者の動かせる財産(例えば、現金や貴金属、宝石、ブランド品など)を直接自宅や事務所に出向いて差し押さえるのです

よくドラマや映画で見る差し押さえ品に赤札を貼る、あれが動産執行のイメージとなります。

動産執行は、不動産の差し押さえや銀行口座にある預貯金の差し押さえと異なり、タイミングを間違えると財産を隠されたり売却されたりするので、難しい差し押さえ方法でもあります。

動産執行は、分かりやすく言えば、換金性の高い金目の物を差し押さえるだけの方法です

よって、動産執行はあまり多用される差し押さえ方法ではありません。

他の差し押さえでは債権を全然回収できない時に最終手段として用いられます。

上手く活用できれば動産執行は有益な方法ですが、回収するのが難しい方法であるのもまた事実です

動産執行の対象になるもの・ならないもの

動産執行の対象品は、現金・金(ゴールド)などの貴金属・宝石・時計・絵画彫刻などの芸術品・ブランド品などです

これらをまとめていえば、換金性の高いモノということが分かります

一方で、差し押さえを禁じられてるものは、生活必需品(日用品)である衣類・寝具・家具家電と仕事に使う器具や備品などです

また、現金も当面の生活費になるであろう66万円(2か月分の生活費相当)までは差し押さえできません

このように生活に必要な物は差し押さえできず、生活に必要ではない贅沢品が差し押さえ対象になります

動産執行は、債務者に資産・財産がある時には有効な方法ですが、資産・財産がない時には時間と労力だけがかかる非効率な方法(執行不能)となるので、見極めが重要です。

ちなみに、マイカーなどの自動車は動かせる財産ですが、動産執行には含まれませんので、ご注意ください。

自動車は自動車執行という別のジャンルで処理しなければいけません。

動産執行の難しさ

動産執行は執行官が債務者の自宅や事務所に赴いて、直接動産を差し押さえることをいいますが、回収に成功するとは限らないのが動産執行の難しさです

動産執行の現場には、執行官の他に買取業者も帯同し、その場で商品を買い取ってもらうことが多いですが、換金性の高い希少品がなければ空振りに終わってしまいます。

また、現金は秘匿しやすいことに加え、売買金などがある自営業者の債務者ならいざ知らず、個人の債務者の現金を差し押さえることは非常に難しいです。

執行官が債務者の自宅や事務所に入る時に、素直に呼びかけに応じなければ、別途、鍵屋などを呼び施錠を外してもらわなければなりません。

これもタダではなく有料(概ね3万円前後)なので、債権者側の持ち出しになります。

このように、よほど換金性が高い財産が債務者の自宅や事務所にあれば別ですが、動産執行をしたのに、なんの成果も出ずに終わってしまうことがあるということを事前に認識しておかなければなりません

しっかりと債務者を調査し、動産執行を行使するだけの財産があると踏んだ時だけ動産執行の手続きをしましょう。

また、動産執行をする場合、タイミングが重要となります

債務者が自営業者などの場合は、金銭の出入りが時間によって異なります。

最大限の効果が見込めるタイミングを見計らって動産執行を行使しましょう

まとめ

動産執行は、不動産以外の動かせる債務者の財産を差し押さえる方法です。

動産執行は、不動産や預貯金の差し押さえに比べて回収が難しい方法ですが、しっかりと債務者を調査し財産等があると確認できた場合には非常に有効な方法となります。

動産執行を行うタイミングはなかなか難しいですが、最大限の効果が出るようにタイミングを見計らって実行しましょう。

動産執行はなにかと難しい回収方法なので、動産執行に詳しい弁護士に事前に相談することをお勧めします

動産執行はマニュアルに則り手続きを進めていけば、債権を回収できるほど甘い方法ではありません。

多様な実体験から導き出されるノウハウが必要とされる方法なのです。

動産執行を成功させるためにもノウハウを持った熟練の弁護士にお任せください

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