自己破産したらすべての財産を失うの?失う財産と残る財産を解説します

代表弁護士 佐々木 一夫 (ささき かずお)

自己破産という言葉を聞くと、何もかもすべてを失って路頭に迷うイメージがありますが、全ての財産を没収されるわけではありません。

日常生活を営むにあたり必要になる生活必需品などは基本的にすべて残せますので、安心してください。

しかし、一般的な生活をするのに不要なアンティークなどの高額商品は処分対象になるので注意が必要です。

簡単に言えば、高価なモノは処分対象であり、安価なモノは処分対象外ということになります。

今回は、自己破産した時に失う財産と残せる財産について、詳細に解説していきます。

自己破産者以外の財産は処分されない

最初に注意すべきことは、財産が誰のものかということです

財産が自己破産者のものでない場合は、処分対象になりません

財産(自己所有物)と自己破産者の名義が一致した時のみ差し押え対象になります。

例えば、父が自己破産者だとして、家や車の名義が祖父母や妻などの場合は処分対象になりません。

自己破産者名義以外のものは処分されないことを覚えておきましょう。

処分されるモノのボーダーラインは20万円

自己破産すると原則財産は処分され債権者に配られます

しかし、何でもかんでも差し押さえられるというわけではありません。

簡単に言うと、高額なモノは処分され、安価なモノは処分されません

高額なモノと安価なモノのボーダーラインは商品価値(査定額)が20万円超か以下かで決まります。

商品(モノ)が20万円を超えていれば処分対象、20万円以下なら処分対象外と解釈してもいいでしょう。

ちなみに現金は99万円を超える場合は処分対象、99万円以下なら処分対象外となります。

基本的な原則は以上ですが、より詳しく具体的なモノまで見ていきましょう。

高額で現金化しやすいモノは処分される

自己破産した場合、処分対象になるモノは、高額で現金化しやすいものです

具体的には、「土地」「家(マイホーム)」「20万円を超える預貯金」「20万円を超える有価証券」「20万円を超える車(査定額)」「99万円を超える現金」などが差し押えの対象となります

これを見ると資産価値があり現金化しやすいモノが対象と分かります。

一方で、資産価値があまりなく、現金化しても二束三文にしかならないモノは処分対象外ということが分かるでしょう。

生活必需品などは処分されない

自己破産しても処分されないモノは安価で現金化しづらいものです

具体的には、「生活必需品(衣類・家電・家具・PCなど)」「仕事に使うもの」「おもちゃ(漫画・ゲームなど)」「99万円以下の現金」などが処分対象外になります

上記の具体例でも分かるように比較的安価なモノが多いです。

ただし、生活必需品でも高価なブランド品やアンティーク(骨董品)は20万円を超える可能性があるので、処分対象になることがあります。

また、家電は1台なら処分対象外ですが、2台以上など複数台もっている場合は処分対象になるので注意しましょう。

具体的には、テレビ・ビデオ・ステレオ・洗濯機・冷蔵庫・電子レンジ・エアコン等です。

裁判所の判断によって可否が変わる場合もありますが、基本的には高額なモノは処分対象であり、安価なモノは処分対象外ということです

処分対象か否かの詳細に関しては、自己破産案件を豊富に取り扱ったことがある弁護士に聞いてみるといいでしょう

ローンが残っているモノは処分される

ローンが残っているモノは処分対象になります

ローンで買うものは、家(マイホーム)や車(マイカー)などですが、残念ながら没収されてしまいます。

この場合、裁判所に没収されるのではなく、ローン会社に取られてしまいます。

家の場合、ローン会社が住宅を競売にかけて売却してしまうので、自己破産時は家を手放すことになります。

また、信用調査会社に自己破産したことがバレてしまうので、長期にわたりローンを組むことが困難になります。

ですので、家を手放した後は、たいていの場合、賃貸に住むことになります。

車の場合もローン会社に車を回収され、売却されてしまいます。

ローンを組んでいる場合は、手元に現物があっても自己所有物ではなくローン会社のものなので、自己破産した場合は回収されてしまいます

自己破産したら給料は差し押さえられない

自己破産した場合、怖いのが給与のゆくえです。

有難いことに、自己破産手続きが完了すると給与やボーナスは差し押さえられません

自己破産前は債権者に給与等を差し押さえられるので注意!

自己破産手続きを弁護士に依頼する前は、債権者に給与やボーナスを差し押さえられてしまうので注意が必要です

ちなみに給与の4分の1が差し押え対象になります。

残りの4分の3は手元に残しておけます。

ただし、給与が多い人の場合、33万円を超える部分に関しては全て差し押さえられるので、注意が必要です。

なお年金は差し押さえられることが禁止されています。

給与やボーナスの差し押さえを防ぐには、すぐに弁護士に相談するのが一番です。

自己破産以外の債務整理もあるので、自己破産だけは嫌だという人でも、まずは弁護士に相談してみましょう

まとめ

自己破産すると安価な生活必需品などを除き、価値がある現金化しやすい高額商品は処分対象になってしまいます

財産が処分されるか否かを以下の手順でチェックしてみてください

自己破産者の名義と財産の所有者が同じか?

財産の所有者(名義人)が異なる場合は、処分対象になりません。

ローンを組んでいる財産か?

ローンを組んでいる場合は、ローン会社にローン該当財産を回収されてしまいます。

手持ちの現金は99万円以下か?

所有する現金が99万円以下なら手元に残せます。99万円超なら差し押さえられます。

所有するモノ(動産)が20万円以下か?

所有するモノが20万円以下のモノ(商品など)なら手元に残せます。

生活必需品などは概ね20万円以下なので、ブランド品やアンティークを除き、ほぼ全て手元に残すことができます。

基本的なことは以上ですが、例外規定や裁判所の判断、経験値がないと分からないことも多々あります。

処分対象と思っていたモノが処分対象から外れることもあるかもしれません。

まずは法的な知識と豊富な経験を併せ持った弁護士に相談し、最善の処置をしてもらいましょう

豊富な経験に則った素晴らしい解決策・最善策を提示してくれるはずです。

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