自己破産したときの生命保険の取り扱いについて解説

代表弁護士 佐々木 一夫 (ささき かずお)

借金を返済できない時に考えるのは、債務整理の一つであり、借金をゼロにできる自己破産です。

自己破産は財産がなければ比較的スムーズに手続きが進みますが、財産がある場合は債務者の財産を売却して債権者に分配しなければなりません。

家や車などの高額商品は財産とすぐに分かりますが、保険は財産なのでしょうか?

答えは、財産です。

ただし、保険は民間の保険と公的な保険があり、自己破産に影響するのは民間の保険だけです。

公的な保険、例えば国民年金や国民健康保険は自己破産の影響を受けません。

また、保険(民間)の解約返戻金が20万円を超えるか否かによって、解約しなければいけないかどうかが変わってきます。

ポイントは、民間の保険の解約返戻金が20万円を超えるかどうかです。

この20万を超えるかどうかで自己破産の処理方法(同時廃止か管財事件)も変わってきます。

今回は、自己破産したときの生命保険の取り扱い方について、詳細に解説していきます

公的な保険は自己破産しても解約不要

保険は大別すると2種類あります

一つは公的な保険、もう一つは民間の保険です。

公的な保険とは、国民年金や国民健康保険などのことを指します

これらの保険は、自己破産しても解約する必要がありません(そもそもできません)。

つまり、公的な保険は自己破産しても影響を及ぼさないということです

きちんと国民年金等を請求書通りに払っていれば、なにも問題ないのです。

ただし、自己破産しても国民年金や国民健康保険の未納分は免責されません

国民年金や国民健康保険は解約されませんが、未納分に関しては自己破産後も請求書が届くので注意しなければなりません。

もちろん、収入が少なければ減免が認められることもあるので、窓口で相談したり、減免請求をしたりしましょう。

民間の保険は、解約返戻金が20万円以下なら解約不要

東京地裁が定める自由財産の拡張では、「見込額(数口ある場合は合計額)が20万円以下の生命保険なら解約が不要」となっています

自由財産とは、自己破産しても没収されない財産のことです。

民間の保険は財産と考えられ、解約返戻金が20万円を超える場合は保険を解約して返戻金を債権者に分配(配当)しなければなりません

ポイントは、解約返戻金が20万円を超えるか否かです。

保険契約は色々な種類がありますが、解約返戻金がない保険もあります。

解約返戻金がない保険の代表例は、掛け捨ての保険です。

掛け捨ての保険は保険料が安いので解約返戻金がないのです。

ちなみに、掛け捨ての保険の代表例は、損害保険です。

一方、保険というより積み立て投資に近い、資産形成の意味合いが強い保険もあります。

それが生命保険です。

生命保険は途中解約しても解約返戻金をもらえるものが多いです。

解約返戻金が20万円を超える場合は、強制的に解約され、保険の継続ができません

解約返戻金が20万円を超えない場合は、強制的に解約はされませんので、保険を継続できます

ただし、自己破産するような状態なら、手持ちのお金がほとんどないわけですから、お金がかかる保険に加入し続けるのは、現実問題難しいです。

まとめると、損害保険のような掛け捨て型の保険は解約返戻金がゼロなので自己破産の影響を受けないが、生命保険のような積み立て型の保険は解約返戻金が20万円を超える可能性があるので自己破産の影響を受けるということです

もし生命保険に加入しており、解約返戻金がありそうな場合は、保険会社に連絡して合計金額がいくらくらいになるか把握しておきましょう

まとめ

自己破産は処理方法が2種類(管財事件と同時廃止)あります。

財産が少ない(20万円以下)場合は、同時廃止で処理されます

損害保険などの掛け捨て型保険の場合、他にめぼしい財産がなければ同時廃止で自己破産手続きが行われます

同時廃止で処理されると自己破産の手続きはきわめてスムーズに終わります。

一方で、管財事件は財産が多い場合に選択される処理方法です

解約返戻金が20万円を超える生命保険等に加入している場合は、管財事件で処理されます

管財事件は、管財人が財産を調査するので時間とお金がかかります。

なお、公的な保険(国民年金や国民健康保険)は自己破産の影響を受けません。

ただし、国民年金等の未納分は自己破産しても免責されませんので注意が必要です。

自己破産しても未納分をチャラにしてくれるわけではないということを理解しておきましょう。

また、自己破産する前に、どのような保険に加入しているのか、解約返戻金の総額がいくらくらいになるかなどを、事前にチェックすることをお勧めいたします。

解約返戻金がどのくらいになるか分からない場合は、保険会社などに問い合わせてみましょう。

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